山下ふ頭再開発 市民検討会に思う
9月27日から5回に渡って開催された山下ふ頭再開発市民検討会が12月20日に終了しました。市民検討会の参加者は、住民基本台帳から16才以上の5,000人を無作為に抽出し、そのうち参加を希望者した市民から抽選で年代、性別、居住区を考慮して、各区男女1人ずつ36人が決定しました。毎回27人~33人が参加し、当局が提示した学識者や地域関係団体で構成された再開発検討委員会の「答申を踏まえた基本的な方向性」を基本資料として、現地の見学やグループワークを重ねてきました。
一方で、再開発は民設民営で行うので、11月27日から民間事業者へのサウンディング調査を実施しています。市民検討会と並行して行っている訳です。民間事業者の知見、ノウハウ、再開発の事業性等を聞き、事業計画を作成するとしています。来年度中の事業者選定をめざすということです。
林前市長のときのIR誘致については、市民の反対意見を無視して進めたことが問題であり、結局は市長選でカジノ反対の山中現市長が当選しました。政策形成過程での市民とのコミュニケーションに課題を残したと思います。その対策としての「市民検討会」だと思いますが、果たして市民参加として有効な手段なのか疑問に思います。無作為抽出で公平性を担保したということでしょうか? 人口377万人からわずか36人、全員が参加した回はありません。参加された人は貴重な経験だったと思いますが、そもそも方向性がほとんど決まった中での検討であり、行政主導は否めません。
昨年、横浜市は5つの報道記事に対して、事実誤認がないにも関わらず「削除や公平性を求める」文書を交付しました。この中には山下ふ頭再開発検討委員会に関する神奈川新聞の記事も含まれていて、「事業計画等への市民参加の在り方について委員会の少数意見を重視した内容だ」として、文書での回答を求めました。自分たちの意に沿わない、気に入らないからと、報道記事に介入することはあってはならないと思います。公権力による圧力であり、「忖度」の強要につながりかねません。
今後も上瀬谷の米軍通信施設跡地や中区・南区・磯子区にまたがる米軍住宅跡地など、大規模な再開発が続きます。政策形成過程での市民参加をどう担保するか、反対意見や批判を恐れず、取り組んでほしいと思います。
