茅ヶ崎市のチームみつばちが主催する映画「100,000年後の安全」の上映と原子力資料情報室の高野聡さんの講演会に参加しました。

映画はフィンランドの核ごみ最終処分場オンカロの話です。原発から排出される高レベル放射能がウラン鉱石レベルまで低下するには、10万年間隔離する必要があります。映画では、10万年後の未来に地球はどうなっているか、人類はどうなっているか想像できない状況で、オンカロの危険性をどう継承していくのかという苦悩が語られています。1983年から処分地についての調査・検討を開始し、南部のエウラヨキの地下400~450mに建設、10月22日に政府が操業を許可し、世界で初めて最終処分場が稼働します。フィンランドはユーラシアプレートの約19億年前の花こう岩上の安定域に位置し、地震のリスクもほとんどありません。一方日本には、4つのプレート境界があり、地震や火山のリスクが偏在し予測困難であり、地下水も豊富で流動的です。適正な場所があるとは到底思えません。

現在、5つの自治体で文献調査が行われています。フィンランドでは、調査の初期段階から住民参加が保障され、情報公開も徹底しています。さらに独立性の高い規制機関が積極的に関与します。しかし日本では、住民参加の法的・制度的保障はなく、地元との水面下のやり取りが非公開で進み、原子力規制委員会は関与しません。さらに文献調査を受け入れると国から20億円の交付金が出ます。財政難の小さな自治体では、首長の判断で受け入れを決定し、当然不安を抱く市民から反対運動が起り、結果として賛成・反対で地域社会が分断され、人々が疲弊してしまいます。北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県の玄海町は自治体が手を挙げましたが、小笠原村の南鳥島と茨城県の常陸大宮市は国からの申し入れでした。小笠原村では交付金を受け取らないことを求める署名運動が起きました。日本全体で考えるべき事案であり、交付金を受け取る地域だけの問題ではないということです。まっとうな主張だと思います。

日本の原発政策のもう一つの問題は核燃料サイクルです。使用済み核燃料を再処理して、ウランやプルトニウムを燃料として再利用し、その過程で発生する高レベル放射性廃液をガラス固形化して処理するというものです。しかし、六ケ所村の再処理工場は1993年に建設開始し、1997年完成の予定でしたが、トラブル続きで2022年9月に27回目の稼働延期をしました。2016年には原子炉で消費する以上の核燃料を生み出すはずの高速増殖炉もんじゅの廃炉が決定。核燃料サイクルは破綻していると言わざるを得ません。イギリスは撤退、フランスも苦戦しています。各地の原発には使用済み核燃料がプール内に貯蔵されていますが、核燃料サイクルは進まず、貯蔵率が8割に達していて、乾式貯蔵など新たな保管方法が必要になっています。

今すぐ原発をやめても、核のごみの問題は残ります。しかし、国は再稼働を進め、リプレイス(建て替え)まで言い出しています。核のごみは増え続けます。映画「100,000年後の安心」の監督マイケル・マドセン氏は「これだけの事故(福島原発事故)なのに、政府も企業も事故対応が間違っていたことを認めない。国民全体でも、原発をどうするかという議論が盛り上がらない。それが一番深刻な問題です。」と言っています。10万年後どころか100年後の安心も保障できないという思いです。

 

参加者のコメント:映画を見ました。廃棄物のことを忘れ、エネルギー依存の暮らしをしていましたが、この解決の見えない危険性から目を背け後世に先送りしていることに改めて愕然としました。

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